http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20110811ddlk09020135000c.html
安愚楽牧場:再生法申請 出資会員、落胆と憤り 知事「損賠支援したい」 /栃木
毎日新聞 2011年8月11日 地方版
「出資金は全額返すことができない」--。民事再生法の適用を申請した「安愚楽(あぐら)牧場」の代理人弁護士が10日、オーナー向けに発送した通知書。「せめて元金だけでも返して」と願うオーナーたちからは、改めて落胆と憤りの声が上がっている。【泉谷由梨子、柴田光二】
同社は預託法に基づきオーナー制度を運営してきた。「和牛オーナー」となる個人会員から出資を募り、繁殖牛を購入。生まれた子牛の売却益を配当金とする方式で資金調達し、今年3月期の売上高は1027億円を計上していた。
通知では、出資金は和牛を売却して返済し、不足分は一般配当で補うとの方針が示されたが、「原資は十分でなく再生債権の配当分も大きくはならない見通しであり結論的には出資金元本の全額をお返しすることはできない」などと説明。同社が公表する飼育頭数約15万頭の雌牛や子牛を相場の1頭約40万円で売却できた場合でも600億円。全てが返金に充てられたとしても返金額は出資の5%程度の見通しだ。
また、県によると、安愚楽牧場が福島県の計画的避難区域内など4農場で育てていた牛242頭が、原発事故後に県内に移動していたという。県が餌などの管理状況を調査している。同社の預託農場は県内に6カ所あり、1417頭が飼育されていたという。
同社が東京電力に損害賠償請求するとしていることについて福田富一知事は「必要に応じて情報提供したい。損害賠償請求についても支援が必要なら行いたい」と話している。
◇被災者も「元金返して」 那須塩原の本社、対応に追われ
この日、那須塩原市埼玉の本社や那須町の牧場事務所には飼料など取引のある事業関係者らが訪れ、役員らが対応に追われていた。
本社や牧場事務所入り口ゲートには「社員以外立入禁止」の張り紙をし、警備員が立って部外者や報道陣をシャットアウト。夕方になってようやく役員の1人が取材に応じ、民事再生法適用申請について「経営が厳しい状況にあり、はっきりした形にしないといけないと申請した。再建計画は政府の支援などが不明確で(作成が)難しいが、事業は縮小になる」との考えを示した。
25年前からオーナー制度に参加し、750万円を出資しているという宮城県石巻市の男性(69)は民事再生法申請について知らず「東日本大震災で被災し、自宅の修理代がかかるので何としても元金は返してもらいたい」と憤った。
出資金が2500万円に上るという埼玉県内の女性オーナー(61)は「民事再生法が適用されても今後どうなるのか。出資金は返ってくる可能性はあるのでしょうか。このことをあまり考えると精神的にまいってしまう。震災で犠牲になった人たちのことを考えたら命があるだけでも幸せだと自分を納得させるようにしています」と唇をかみしめた。
安愚楽牧場:再生法申請 出資会員、落胆と憤り 知事「損賠支援したい」 /栃木
毎日新聞 2011年8月11日 地方版
「出資金は全額返すことができない」--。民事再生法の適用を申請した「安愚楽(あぐら)牧場」の代理人弁護士が10日、オーナー向けに発送した通知書。「せめて元金だけでも返して」と願うオーナーたちからは、改めて落胆と憤りの声が上がっている。【泉谷由梨子、柴田光二】
同社は預託法に基づきオーナー制度を運営してきた。「和牛オーナー」となる個人会員から出資を募り、繁殖牛を購入。生まれた子牛の売却益を配当金とする方式で資金調達し、今年3月期の売上高は1027億円を計上していた。
通知では、出資金は和牛を売却して返済し、不足分は一般配当で補うとの方針が示されたが、「原資は十分でなく再生債権の配当分も大きくはならない見通しであり結論的には出資金元本の全額をお返しすることはできない」などと説明。同社が公表する飼育頭数約15万頭の雌牛や子牛を相場の1頭約40万円で売却できた場合でも600億円。全てが返金に充てられたとしても返金額は出資の5%程度の見通しだ。
また、県によると、安愚楽牧場が福島県の計画的避難区域内など4農場で育てていた牛242頭が、原発事故後に県内に移動していたという。県が餌などの管理状況を調査している。同社の預託農場は県内に6カ所あり、1417頭が飼育されていたという。
同社が東京電力に損害賠償請求するとしていることについて福田富一知事は「必要に応じて情報提供したい。損害賠償請求についても支援が必要なら行いたい」と話している。
◇被災者も「元金返して」 那須塩原の本社、対応に追われ
この日、那須塩原市埼玉の本社や那須町の牧場事務所には飼料など取引のある事業関係者らが訪れ、役員らが対応に追われていた。
本社や牧場事務所入り口ゲートには「社員以外立入禁止」の張り紙をし、警備員が立って部外者や報道陣をシャットアウト。夕方になってようやく役員の1人が取材に応じ、民事再生法適用申請について「経営が厳しい状況にあり、はっきりした形にしないといけないと申請した。再建計画は政府の支援などが不明確で(作成が)難しいが、事業は縮小になる」との考えを示した。
25年前からオーナー制度に参加し、750万円を出資しているという宮城県石巻市の男性(69)は民事再生法申請について知らず「東日本大震災で被災し、自宅の修理代がかかるので何としても元金は返してもらいたい」と憤った。
出資金が2500万円に上るという埼玉県内の女性オーナー(61)は「民事再生法が適用されても今後どうなるのか。出資金は返ってくる可能性はあるのでしょうか。このことをあまり考えると精神的にまいってしまう。震災で犠牲になった人たちのことを考えたら命があるだけでも幸せだと自分を納得させるようにしています」と唇をかみしめた。
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