2011/08/04

倒産危機の安愚楽牧場、女社長の正体は?

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倒産危機の安愚楽牧場、女社長の正体は?
更新日:2011年08月04日

負債618億円を背負い倒産の危機にある安愚楽牧場。高配当をうたい、TVCM、新聞広告などで約3万人の出資者を集め、和牛預託商法と言われる企業では唯一生き残り成功モデルとも言われてきた。しかし、その内実は火の車だった。同社を仕切ってきたのが女社長・三ヶ尻久美子氏。経歴も定かではなく、表に出てこないが、その一端が伝わってきた。
「わたしは移動には飛行機は使いません。節約のため全部電車です」
一昨年に横浜市内で行われた安愚楽牧場主催のパーティーで、同社の三ヶ尻久美子社長が200人以上の出資者を前にして語ったのだという。出席者の一人は「これだけしっかりした方が社長なら、安心だ」との思いを強くしたそうだ。
三ケ尻社長は、「前社長だった夫の跡を受けた」(ある出資者)という話もあるが、まったくその経歴は表には出ていない。出資者の目には「出資者を大切にする利発そうな経営者」と映ったそうだ。
こうした出資者をつなぎとめるためのパーティーは、何年かに1度は行われていたそうで、出資者は要望を出したり、「株主総会」「懇親会」のような場でもあったそうだ。三ケ尻社長は出資者を邪険に扱うことなく、意見や要望には謙虚に耳を傾けていたという。
しかし、パーティー開催は一昨年が最後だったという。昨年は一転して、宮崎県の口蹄疫問題、そして今年は東京電力の福島第一原発事故にも見舞われて、負債は618億円にまで拡大し、取引を停止し見動きが取れない状態になってしまっていた。
それだけに出資者たちは「信じられない」「裏切られた」という思いを強めている。

JR東京駅から徒歩10分圏内にある、安愚楽牧場の東京オフィス。広さ約80坪のオフィスの玄関には「当面の間臨時休業させていただきます」という張り紙があった。
同じビルに入居する会社の男性は「ニュースを見て初めて知りましたが、びっくりしました」と信じられない様子だ。オフィスは営業・広告部隊の社員の拠点となっていたようだが、8月1日からドアは閉まったままだ。
栃木県にある本社の電話がつながらないということもあり、東京支社には時折、様子を見に来る出資者がいる。もちろん、支社の電話も通じないそうだ。
60歳代の女性は「お金は、戻ってくるんでしょうか」と記者に逆取材をしてくるなど、困惑している様子がうかがえる。もちろん、投資は自己責任だから、そんな保証はできない。聞けば1000万円以上投資をしているそうだ。
約10年前に投資をしたそうだが、他の利殖商品よりも利回りが高かったことが、その理由だという。落胆した様子で、足早に現場を去ろうとしたため、それ以上話を聞くことができなかった。
ほどなくして、今度は60代の男性がエレベーターで上がってきた。

2000万円を出資して、さらに東京電力の株も保有していたそうだ。「もう震災で、こんなことになって…」と落胆していた。
男性は8年前に投資をスタートし、5%以上の利回りがあったことから決断。配当が高かったために満足していたのだという。ただ、2週間前に約8%の利回りで、新規募集の通知が送られてきたのだという。
「(利回りも高いので)これはおかしいなと思ったんですよね」。その予感は当たっていた。しかし、もうどうすることもできなかった。
かつて和牛預託商法として、詐欺も横行して社会問題となった。最後は「安愚楽牧場」「ふるさと共済牧場」の2社だけが生き残った。しかし、97年には安愚楽1社だけになった。どのような経営をしていたのか、真相はまったくの謎。現在は、弁護士が資産を算定中で、近く今後についての発表がある見通し。
中には1億円などという出資者も他メディアに登場しているが、高配当とは、こうした破たんリスクを織り込んでいるからこその高配当なのだと、再認識させられる一件だ。

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