2011/08/11

(株)安愚楽牧場の民事再生に関するQ&A 2011/08/10

http://www.agura-bokujo.co.jp/110810_02.pdf
(株)安愚楽牧場の民事再生に関するQ&A 2011/08/10

Q 安愚楽牧場は事実上倒産したのですか?
A はい。
ある会社が経済的に破綻して弁済期にある債務を一般的に返済できない状態が継続することを一般に事実上の倒産といいます。事実上の倒産の後,破産,民事再生,会社更生等の手続が申し立てられると,法的な意味での倒産処理手続が始まることになります。安愚楽牧場は,平成23年7月31日に予定していたオーナー様への分配金の支払いをすることができないという状態が継続しており,また,同年8月9日に東京地方裁判所に民事再生の申立てをしましたので,現在,事実上,また,法律上の倒産状態にあります。

Q 民事再生とはどういうことですか?
A 民事再生は,会社の法的な整理手続の一種です。
経済的に破綻した個人や法人が,その財産や事業利益をもって,確定した再生債権の一定割合を弁済することを内容とする再生計画を定め,その計画が債権者の多数の賛同を得て裁判所の認可を受けると,債務者は,以後,その計画に定めに従って債務を弁済する義務を負い,その余の債務を免れることができます。

Q オーナーの出資金(元本)は返ってくるのですか?
A 全額はお返しできませんが,一部はお返しできる見込みです。
オーナー様の出資金(正確には,中途解約の場合は「清算金」,期間満了の場合は「再売買代金」です。)の返還請求権は,民事再生手続上の再生債権となり,和牛の所有権はその再生債権を担保する財産として取り扱われる見込みです。そのため,オーナー様へのご返済は,まず和牛を順次売却して得られた資金をもって行い,不足する部分は再生計画に基づいて弁済されることになります。
返還金=和牛の売却価格(一頭について数十万円)+一般配当
ただ,現在までの調査では,和牛の売却によって確保できる返済原資は十分でなく,再生債権の配当分も大きくはならない見通しであり,結論的には,出資金元本の全額をお返しすることはできないでしょう。
出資金のどの程度を,いつお返しできるかについては,今後の手続の進展に伴って情勢が明らかとなり次第,このホームページでご案内する予定です。

Q 今すぐ解約手続をとれば,お金はすぐに返してもらえますか?
A いいえ。
オーナー様の出資金返還請求権は,第一次的には和牛の売却代金から弁済され,第二次的には再生債権として安愚楽牧場の一般財産から弁済される予定です。そうすると,和牛の売却や再生計画の認可確定までには時間を要しますので,今すぐにお返しすることはできません。また,その時期についても上述のとおり未定ですので,逐次見通しをご案内する予定です。

Q すでに解約していたのですが,出資金を優先的に返してもらえますか?
A いいえ。
解約済みの場合でも,出資金の返還請求権は,和牛に対する担保権付き再生債権として扱われる見込みですので,和牛の売却と再生計画の確定まではお返しすることができません。また,解約済みの債権であるからといって他の債権者よりも優先的に弁済を受ける権利はありませんので,他の契約者の方と同じ扱いになります。

Q まだ契約を解約していないのですが,今から解約できますか?
A はい。再生債権の届出期間内であれば解約できます。
再生債権届出期限は,平成23年10月下旬から11月上旬頃の見込みですので(詳しくは追ってご案内します。),それまでに到達するように,(株)安愚楽牧場の那須本部(〒325-0033 栃木県那須塩原市埼玉2−37)宛てに解約通知をご郵送ください。今から解約をしても返ってくる金額や時期に差はないように手続を進める予定です。

Q クーリングオフできますか? その場合,お金はすぐに返ってきますか?
A 契約から14日以内であれば書面でクーリングオフできますが,お金をすぐにお返しできるわけではありません。その場合の預託金の返還請求権も和牛によって担保された再生債権として取り扱う予定ですので,通常の解約をされた方と同様となり,お金がすぐに戻るわけではありません。

Q 契約を解約するのと継続するのでは,どちらが得なのですか?
A 結果的に大差はないと思われます。
解約すると契約上10パーセントの違約金が発生し,その分再生債権の額が目減りすることになりますが,破綻後に解約をしたオーナー様が不利になる扱いは不公平であると考えますので,法律の許す限り,契約を継続されるオーナー様との間で返済額や返済時期に差が生じないようにしたいと考えています。

Q 解約してしまったら,和牛の所有権がなくなり,東京電力や国から原発事故に伴う補償を受ける権利がなくなってしまうのですか?
A いいえ。
オーナーの方々に対しては,解約の成否にかかわらず,担保である和牛の売却代金による配当ができるように,再生計画を作るつもりです。すなわち,解約したからと言って,代金がオーナー様への返済に充てられることに変わりはありません。
国が和牛を放射能による被害前の価格水準で買い上げてくれたならば,その分,オーナー様への配当が増えることが期待されます。

Q 国(東電)からの補償はどの程度の規模になりますか?
A 現在,政府は出荷停止となった牛について補償を検討しているとの報道がなされております。安愚楽牧場では,担当省庁と連絡を取りつつ,情報を収集しております。現時点では,補償の時期・規模等についてはまだ具体的な告知はなされておりません。予想としては,放射能汚染地域(出荷停止地域)の和牛について全頭検査がなされ,そのうち放射能汚染が確認された和牛については時価による全頭買い上げ,それ以外の和牛については出荷停止期間の餌代分が補填されるものと考えられます。ただし,今回の経営破綻に伴うオーナー様の全損害を補填するということになるかどうかは,現時点では予測することができません。
ただし,国による補償は,最終的に東電に負担させることを前提に支払われるものとされております。そのため,東電を相手として交渉を開始し,決着がつかない場合には訴訟を提起することになります。それにより回収した損害賠償金は,債権者への配当原資となります。

Q 破綻直前まで安愚楽牧場の社員から出資を勧誘されました。倒産すると知ってお金を集めたのだから詐欺ではないですか?
A 詐欺ではありません。
まず,そのような事実があったとすれば,お詫び申し上げます。安愚楽牧場の破綻の事実は,皆様に告知するまで,従業員にも秘密にしておりましたので,そのような行き違いがあったかも知れません。しかしながら,安愚楽牧場において,破綻の事実を知りながら,社員に出資を勧誘させたという事実はありませんので,詐欺は成立しないものと考えます。

Q 安愚楽牧場の平成23年3月末の決算は黒字だったはずですが,あれは粉飾だったのですか?
A いいえ。税理士のチェックを経た適法な決算です。
安愚楽牧場の決算では,和牛の飼養期間が満了したり解約がされたりしない限り出資金を返還する必要がないという取扱いになっていた関係で,オーナー様への返還義務が負債として計上されない仕組みになっていました。そのような処理は,税法上適法とされております。破綻直前に解約が急増し,また,再生手続上,未解約のオーナー様に対する出資金返還債務も負債としてカウントしました。その結果,今回,平成23年3月末決算よりも大幅に負債が増加することになったものです。

Q 問い合わせの電話がつながらないのですが。
A 電話が混み合っております。
当事務所では,本件のために専用のコールセンター(電話番号050−5505−3720 受付時間午前9時~午後5時)を設置しておりますが,回線数が限られている関係で,電話が混み合ってつながらない場合があります。また,当事務所の回線もごく限られており,電話によるすべてのお問い合わせに対して十分にお答えすることができません。
コールセンターにつながらない場合や法律的な問題点についてお尋ねになりたいことがありましたら,質問事項を書面にまとめ(メモ程度で構いません),当事務所までご郵送ください。書面,FAX又はこのホームページにてご回答差し上げます。

Q 安愚楽牧場のビジネスモデルは,当初から破綻していたのではありませんか。
A いいえ。
安愚楽牧場のビジネスモデルは,「和牛をオーナーに買ってもらい資金を調達する」→「調達した資金を牧畜業において回転させ収益を上げ,その一部をオーナーに配分する」→「約定期間満了時に,オーナーから和牛を買い戻す」というものでした。このモデル自体は,法律的に違法なものではなく,経済的にも収益モデルとして成り立っているものと考えられます。現に,このビジネスモデルは「預託法」の規制には違反しておらず,運用においても,監督官庁による抜き打ち検査によっても違法であるとの指摘は受けませんでした。
今回の破綻の直接の原因は,口蹄疫問題や和牛の放射能汚染問題等による解約の増大,新規契約の大幅な減少などにより,資金繰りに窮するに至ったことにあります。また,破綻の間接的な要因として,日本経済のデフレ傾向(デフレのため実質的に出資金返済の負担が重くなった。),和牛価格の下落傾向,配当率の高止まり傾向(年8パーセント超の高配当を約束した契約が多く残っていた。),飼養コストの高額化傾向なども,経営を困難にした要因であるといえます。

Q 裁判所などから届く書類の送付先を指定・変更できますか?
A はい。
「送達場所」または「代理人」をご指定いただければ,そちら宛てにお送りすることも致しますので,ご希望の方は,その旨を書面にて(株)安愚楽牧場(〒325-0033 栃木県那須塩原市埼玉2−37)までお届けください。

以 上

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