2011/08/17

《経済》 和牛の価格 回復厳しく  餌汚染牛問題で急落の波が県内に波及

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110817/CK2011081702000120.html
《経済》 和牛の価格 回復厳しく  餌汚染牛問題で急落の波が県内に波及
2011年8月17日

福島第一原発事故で放出された放射性セシウムに汚染された稲わらを飼料として食べた牛が流通した問題で、和牛枝肉市場の卸価格が、なかなか回復しない。浜松市食肉地方卸売市場(浜松市東区)でも一時は事故前の水準に戻りつつあったが、和牛オーナー制の畜産会社、安愚楽牧場(栃木県)の民事再生法申請が影響し、再び下落傾向になった。市場関係者は「粘り強く安心と安全をPRしていくしかない」と強調し、推移を見守っている。 (白山泉)
セシウムに汚染された稲わらを使っていた農家が県内で見つかった直後の7月25日。浜松市食肉地方卸売市場ではA5等級の雌牛の平均キロ単価が1794円と、前年比15%減に急落した。その後、和牛の全頭検査や安全確認書の発行を徹底することで安全を訴えた結果、価格は8月1日には前年比3%減まで戻した。8日も同7%減だった。
しかし、8月15日にはA5雌牛のキロ平均単価が1887円、前年比16%減と2けたの下落率をつけた。JA静岡経済農業協同組合連合会(経済連)の内山靖彦・食肉課長は、「各地で自主検査した肉が流通し始めて需給バランスが崩れたことや、安愚楽牧場が民事再生法の適用を申請した影響もあり、東京と大阪の市場が急落した。これが地方にも波及してきた」と分析する。
消費者の需要が戻らないことも一因だ。遠鉄ストア(浜松市中区)商品部は、「自主検査で安全の担保は確保されていると判断して販売しているが、売り上げは依然として厳しい」と、“風評被害”に頭を悩ませる。
イオンのコーポレート・コミュニケーション部も、「輸入と国産を合わせると前年並みだが、国産は昨年を若干下回っている」と明かす。
内山課長は「消費がこのまま滞ったままの状態が続くと、さらに市況が下がるかもしれない。事故前の水準まで回復するには、まだ数カ月はかかりそうだが、試食会などを独自に開き、消費者に牛肉を食べたいという気持ちになってもらいたい」と力を込めた。

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