2011/09/09

東京商工リサーチ、「東日本大震災」関連の経営破綻状況を発表

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=291015&lindID=5
東京商工リサーチ、「東日本大震災」関連の経営破綻状況を発表

「東日本大震災」関連の経営破綻(9月7日現在)
~「倒産」と「実質破綻」の合計が363件~
倒産が327件にのぼる「阪神・淡路大震災」時の3.6倍ぺース

「東日本大震災」が影響した経営破綻は、震災発生から9月7日までに363件にのぼった。このうち、「倒産」は3月8件、4月26件、5月65件、6月77件、7月70件、8月72件、9月9件(7日現在)と推移し、合計327件に達した。6月以降は70件台の高水準で推移し、「震災関連」で倒産した企業は、「阪神・淡路大震災」時の3.6倍ペースで推移している。また、現時点では「倒産」に集計されないが、事業停止や「破産準備中」などの手続を進めている「実質破綻」が36件となった。


<震災関連の集計基準>
「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3つのどれかに該当するものを集計している。
1.震災により施設、設備、機械等の被害を受けて経営破綻した(直接型)
2.以前から業績不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
3.震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
※集計では、すでに震災前に銀行取引停止処分を受けたり、震災の影響で民事再生手続を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため除外した。
※「震災関連」の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。
「事業停止」や「弁護士一任」、「破産準備中」など法的手続中の企業は、今後の状況次第では事業再開の可能性もあり、「実質破綻」として区別した。

<倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)>
A)会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
B)手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
C)企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)

○「震災関連」倒産が300件を超える「阪神・淡路大震災」時の3.6倍ペース
「東日本大震災」が影響した経営破綻(倒産+実質破綻)は363件にのぼり、このうち「倒産」は9月7日までに327件に達した。1995年の「阪神・淡路大震災」では、関連倒産が300件を超えたのは震災発生から2年半を経た1997年8月だったのに対し、今回は約半年で300件を超え、あらためて被害や影響の大きさを浮き彫りにした。
*東日本大震災関連倒産、全国震災関連倒産 震災後月次推移の表は添付の関連資料を参照

○「間接被害」型が9割
9月7日現在の「東日本大震災」関連倒産327件について分析した。被害型では、設備や機械などが損壊した「直接被害」型は25件だった。一方、取引先の被災、商品・原材料の流通不足、予約キャンセルなど「間接被害」型は302件(構成比92.3%)と全体の9割を占めた。

○地区別東北が約2割を占める
地区別では、最も件数が多かったのは関東の123件だった。次に東北56件、中部35件、北海道29件、九州28件、近畿26件、北陸13件、中国10件、四国7件の順。直接の被災地である東北の構成比は17.1%だった。
都道府県別では、38都道府県で倒産が発生した。最多は東京の64件(構成比19.5%)。次に北海道29件、岩手21件、大阪16件、愛知15件、福岡14件、福島13件、静岡12件、新潟11件、石川11件、栃木10件、千葉10件、宮城9件、群馬9件と続く。
震災の被災企業は、震災特例による「不渡り報告の記載猶予」や、「第三者破産の留保」など、倒産が表面化しない救済措置が実施されているが、甚大な被害を受けた青森、岩手、宮城、福島の東北4県は合計48件となり、東京に次ぐ件数となっている。

○産業別製造業の増加傾向が目立つ
産業別では、製造業が80件で最も多かった。次に宿泊業や飲食業などを含むサービス業他が79件、建設業57件、卸売業50件、小売業27件、運輸業14件、情報通信業9件、不動産業6件、農・林・漁・鉱業5件の順だった。このうち製造業は、6月から8月までの最近3カ月をみると、6月20件→7月16件→8月16件となり、サービス業他(6月15件→7月15件→8月15件)を上回って推移し、震災後の受注減少の影響がうかがえる。 産業別をさらに細かく業種別でみると、最多は総合工事業の28件、次に宿泊業25件、職別工事業とその他の卸売業が各16件、飲食店14件と続く。総合工事業では、資材流通の停滞による工事中止や遅滞が響いた。また宿泊業では予約キャンセルや自粛ムードによる宿泊客の減少が業績悪化に拍車をかけたケースがみられた。

○負債額別1億円未満が約3割を占める
倒産327件の負債総額は、6,270億1,800万円にのぼった。特に8月は(株)安愚楽牧場(負債4,330億円)の発生で負債が一気に膨らんだ。負債額別では、10億円以上の大型倒産が52件(構成比15.9%)だったのに対し、1億円未満は89件(同27.2%)となり、「震災関連」で倒産した企業の約3割が負債1億円未満の小規模企業が占めた。

○「震災関連」倒産企業の従業員数合計6,843人にのぼる
倒産327件の従業員数合計は、6,843人にのぼった。このうち産業別では製造業が1,678人で最も多く、次にサービス業他が1,135人、小売業が1,125人と続く。また従業員数別では、5人未満が87件(構成比26.6%)で最多だった。
形態別では、再建型の民事再生法は40件(構成比12.2%)にとどまった。一方で、消滅型の破産は188件(同57.4%)と約6割を占め、事業再建の難しい深刻な状況を反映した。

○「実質破綻」の地区別関東19件、東北7件
「震災関連」による影響で経営に行き詰り、弁護士一任や破産準備中など「実質破綻」に陥った企業は36件となった。地区別では、最多は関東の19件、次に東北7件、近畿6件、北陸2件、中部1件、九州1件の順。これらはいずれ整理方針が確定しだい倒産に集計される。

「東日本大震災」関連倒産は、6月以降70件台の高い水準で推移し、震災の被害の大きさを浮き彫りにした。1995年の「阪神・淡路大震災」では、震災発生から1997年末までの約3年間で関連倒産が累計314件発生したが、今回は約半年という短期間で上回った。現状では勢いに衰えがなく、このペースで進むと発生から1年間で600件に達するおそれが出てきた。
また被災型では、直接被災していない「間接被害」型が9割を占め、倒産が全国に拡大している。こうした増勢は、これまで政策支援により支えられてきた業績不振企業の多さが背景にある。このため、新政権には一刻も早い第三次補正予算の成立が望まれ、本格的な復興事業の進展に加えて、きめ細かな資金繰り対策の実施に期待がかかる。

※「東日本大震災」関連破綻状況(9月7日現在)などは添付の関連資料を参照

● 関連リンク
    (株)東京商工リサーチ ホームページ

● 関連資料
    東日本大震災関連倒産、全国震災関連倒産 震災後月次推移の表
    「東日本大震災」関連破綻状況(9月7日現在)など

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