2011/09/16

「これからの方針が分からない」 安愚楽破綻で、戸惑う県内預託農家

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20110915/610990
「これからの方針が分からない」 安愚楽破綻で、戸惑う県内預託農家
(9月16日)

黒毛和牛生産の安愚楽牧場(那須塩原市埼玉)が民事再生手続きを申請し、経営破綻が表面化してから1カ月が過ぎた。和牛オーナーに対する債務は約4200億円。同時に大きな問題となるのが、同社から子牛の預託を受ける肥育農家の今後だ。「これからの方針が分からない」「肥育をやめるしかない」。見えない先行きに、県内でも戸惑いや不安の声が上がっている。
オーナー制度では繁殖牛が契約対象となり、生まれた子牛の売買により収益が出る。県によると、子牛を預かり出荷適齢期まで育てる預託農家は県内に6戸、飼養頭数は計約1400頭。農林水産省の調べでは全国の預託農家は346戸、約7万3500頭に上る。

■餌を削減
県内の複数の預託農家によると、預託料は1頭当たり1日百数十円。餌代は安愚楽側が負担する。「電気代や寝床の敷料が農家持ちになる」という。
翌月払いだった預託料は8月以降、2週間ごとの前払いに変更され、支払われているという。しかし、7月分の預託料は未払いとなっている。
8月下旬には安愚楽側から、餌の量を半分に減らすよう求めるファクスが届いた。「腹を空かせて鳴く牛もいる。かわいそうで、多めに与えていた」という農家もいる。今月に入り、3分の2にまで戻すよう指示があった。

■別の預託元探す
現在飼養中の牛は、安愚楽側の指示を受けて出荷できる見通しだが、今後の預託について説明はないという。
県内農家の一人は「預託ではなく、個人で1頭50万円の子牛を購入して200頭飼うとすれば、億単位の投資が必要。個人では無理なので、別の預託元を探すしかない」と打ち明ける。
別の農家も「自分の牛を肥育していたときは、牛肉価格の低迷もあり赤字続きだった。預託がなければ肥育をやめるしかない」とあきらめ顔だ。
「この先のことは、だれに聞いても『分からない』と言うだけ」「オーナー債権者への説明はあった。預託農家にも配慮してほしい」。不安を抱えたまま、牛と向き合う日々が続いている。

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