http://www.data-max.co.jp/2011/11/09/post_16409_dm1223_1.html
被害者の団結がきっかけに~安愚楽牧場が破産手続きへ
2011年11月 9日 12:50
東京地方裁判所は8日、和牛オーナー制度の破綻で倒産した(株)安愚楽牧場に対し、民事再生手続きを廃止すると決定した。保全管理人には、4日に同地裁の管理命令によって管財人を担当していた渡邊顕弁護士が選任された。
渡邊弁護士は4日の管理命令を受け、管財人として安愚楽牧場の財務状況を調査したところ、すでに資金繰りは逼迫していた。とくに負担が大きいのがエサ代で、同牧場が抱える約13万頭の牛を飼育するには、1カ月で約20億が必要。早急に牧場や牛を売却しないと、牛が大量に餓死する可能性もあるため、再生計画案の続行を断念し、同弁護士は民事再生手続きの廃止を求める上申書を提出。同地裁はこの上申書を受け、破産法上の保全管理命令を出した。
この保全管理命令により、安愚楽牧場の破綻処理は、民事再生でなく破産手続きに切り替えられることになった。
管理命令を受け、これまで安愚楽牧場代理人だった栃木・柳澤弁護士もホームページにこれまでの経緯についての説明文を掲載した。説明文で同弁護士は、資産処理について「旧経営陣よりも管財人が主導する方が、公平性・透明性を保ち、迅速に手続きが進められる」と認めている。また、旧経営陣による売却準備が、当初の見込みより遅れていることも指摘している。ただ、和牛の処分を管財人に委ねることは、「旧経営陣および申立代理人としても大変忸怩たる思い」としている。
<被害者弁護団の主張により破産手続きへ>
今回の民事再生手続きの廃止については、全国安愚楽牧場被害対策弁護団の申立てがきっかけだった。弁護団は、旧経営陣による経営の続行や、資産・経営状況の不透明さなどから、安愚楽牧場主導による民事再生を問題視し、債権者5,027人から依頼を受け、管財人が主導する管理命令の申立てをしていた。
同申立てを受け、東京地裁は4日に管財人による管理命令を出し、そのわずか4日後には、今回の保全管理命令が発令された。
今回の経緯としては、5,000人を超える被害者が管理命令の申立てを行なったことが大きな要因となり、これまで同牧場の民事再生手続きを認めていた東京地裁が、弁護団の主張を受け入れて方針転換をするに至った。
弁護団は「裁判所と保全管理人と協力し、同牧場の財産回収などに努めるとともに、詐欺の疑いもあることから、刑事責任の追及も視野に入れ、被害回復に努める」としている。
また、消費者庁も景品表示法違反の疑いで、同牧場を調査中である。景表法違反となれば、役員らが刑事罰を受ける可能性も高く、被害者にとっても追い風となるだろう。
【山本 剛資】
被害者の団結がきっかけに~安愚楽牧場が破産手続きへ
2011年11月 9日 12:50
東京地方裁判所は8日、和牛オーナー制度の破綻で倒産した(株)安愚楽牧場に対し、民事再生手続きを廃止すると決定した。保全管理人には、4日に同地裁の管理命令によって管財人を担当していた渡邊顕弁護士が選任された。
渡邊弁護士は4日の管理命令を受け、管財人として安愚楽牧場の財務状況を調査したところ、すでに資金繰りは逼迫していた。とくに負担が大きいのがエサ代で、同牧場が抱える約13万頭の牛を飼育するには、1カ月で約20億が必要。早急に牧場や牛を売却しないと、牛が大量に餓死する可能性もあるため、再生計画案の続行を断念し、同弁護士は民事再生手続きの廃止を求める上申書を提出。同地裁はこの上申書を受け、破産法上の保全管理命令を出した。
この保全管理命令により、安愚楽牧場の破綻処理は、民事再生でなく破産手続きに切り替えられることになった。
管理命令を受け、これまで安愚楽牧場代理人だった栃木・柳澤弁護士もホームページにこれまでの経緯についての説明文を掲載した。説明文で同弁護士は、資産処理について「旧経営陣よりも管財人が主導する方が、公平性・透明性を保ち、迅速に手続きが進められる」と認めている。また、旧経営陣による売却準備が、当初の見込みより遅れていることも指摘している。ただ、和牛の処分を管財人に委ねることは、「旧経営陣および申立代理人としても大変忸怩たる思い」としている。
<被害者弁護団の主張により破産手続きへ>
今回の民事再生手続きの廃止については、全国安愚楽牧場被害対策弁護団の申立てがきっかけだった。弁護団は、旧経営陣による経営の続行や、資産・経営状況の不透明さなどから、安愚楽牧場主導による民事再生を問題視し、債権者5,027人から依頼を受け、管財人が主導する管理命令の申立てをしていた。
同申立てを受け、東京地裁は4日に管財人による管理命令を出し、そのわずか4日後には、今回の保全管理命令が発令された。
今回の経緯としては、5,000人を超える被害者が管理命令の申立てを行なったことが大きな要因となり、これまで同牧場の民事再生手続きを認めていた東京地裁が、弁護団の主張を受け入れて方針転換をするに至った。
弁護団は「裁判所と保全管理人と協力し、同牧場の財産回収などに努めるとともに、詐欺の疑いもあることから、刑事責任の追及も視野に入れ、被害回復に努める」としている。
また、消費者庁も景品表示法違反の疑いで、同牧場を調査中である。景表法違反となれば、役員らが刑事罰を受ける可能性も高く、被害者にとっても追い風となるだろう。
【山本 剛資】
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