http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20111109ddr041020006000c.html
安愚楽牧場:破産へ 東京地裁、民事再生手続き廃止決定 道内6万5400頭飼育
毎日新聞 2011年11月9日 北海道朝刊
「和牛オーナー」制度で出資会員を集めていた「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)の経営が破綻した問題で、東京地裁(鹿子木康裁判長)は8日、進行中だった民事再生手続きの廃止を決定し、破産法に基づく保全管理命令を出した。同日付で保全管理人に選任された渡辺顕弁護士が明らかにした。今後1カ月間に異議申し立てがなければ、破産手続きに移行する。
9月に始まった民事再生手続きでは、地裁が今月4日、財産管理の権限を経営陣から再生管財人に移す管理命令を出した。しかし、管財人に選任された渡辺弁護士が同牧場の資産状況を調べた結果、資金繰りが逼迫(ひっぱく)し、早ければ今月中にも運転資金がショートする状態であることが判明。再生計画の立案は極めて困難と判断し、再生手続きの廃止を求める上申書を提出した。牧場側も了承しているという。
資金繰りを圧迫している最大のネックは、約13万頭の牛にかかる月約20億円のエサ代。牧場側は牛の売却を進めて現金収入を確保するとともにエサ代を削減していく意向だが、7万人を超える和牛オーナーの同意を一つ一つ得るのは非常に難しい。渡辺弁護士は「債権者の同意が逐一求められる民事再生手続きでは手間とコストがかかり過ぎ、迅速な破産手続きが妥当と判断した」と述べた。
オーナー側の被害対策弁護団の調査によると、オーナーへの配当に充てる引当預金は約20億円にとどまっており、配当率は被害額の1%未満になる見通しという。【和田武士】
◇道内6万5400頭飼育
■預託農家
安愚楽牧場は今年8月の民事再生申請時点で、北海道や栃木、宮崎県などに計40カ所の直営牧場を持つほか、全国346戸の預託農家があり、計約14万5100頭を飼育。このうち道内の直営牧場8カ所、預託農家136戸に約6万5400頭が飼育されている。
安愚楽牧場の破綻処理に伴い、農家への未払い預託料などは保全財産次第で弁済が一部カットされる可能性が高い。また仮に牛を買い取って事業を続ける場合でも多額の資金が必要になるとみられる。道農政課は「各地の振興局で農家からの相談を受け付けているが、まずは安愚楽牧場や市町村などから情報を収集し、道内への影響を把握したい」としている。
また、9月に十勝地方などの預託農家約50戸が集まり、結成した「全道安愚楽対策預託者協議会」は、新たな飼育の受け皿とする肉牛飼育法人の設立を検討中。横山和夫事務局長は「今後の事業見通しが見えない中で、既に破産に備え、準備してきた。預託農家が団結し、今後も飼育を続けられるよう、今月中旬から各地で説明会を開いていきたい」と話している。【田中裕之、三沢邦彦】
■オーナー
老後や家族のために、と安愚楽牧場に多額の資金を預けていた全国の「オーナー」たちは先行きへの不安を語った。
栃木県内の40代のオーナー夫妻は20年ほど前、生まれたばかりの長女の養育費にしようと「預金感覚」で契約した。やがて「老後の蓄えになるから」と考え、約9000万円をつぎ込んだ。破綻直前、牧場側から「特別なオーナー様だけに」と銘打って、出資を促す案内も届いたという。夫婦は「少しでも多くお金を戻してほしい」と話した。【柴田光二、泉谷由梨子】
安愚楽牧場:破産へ 東京地裁、民事再生手続き廃止決定 道内6万5400頭飼育
毎日新聞 2011年11月9日 北海道朝刊
「和牛オーナー」制度で出資会員を集めていた「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)の経営が破綻した問題で、東京地裁(鹿子木康裁判長)は8日、進行中だった民事再生手続きの廃止を決定し、破産法に基づく保全管理命令を出した。同日付で保全管理人に選任された渡辺顕弁護士が明らかにした。今後1カ月間に異議申し立てがなければ、破産手続きに移行する。
9月に始まった民事再生手続きでは、地裁が今月4日、財産管理の権限を経営陣から再生管財人に移す管理命令を出した。しかし、管財人に選任された渡辺弁護士が同牧場の資産状況を調べた結果、資金繰りが逼迫(ひっぱく)し、早ければ今月中にも運転資金がショートする状態であることが判明。再生計画の立案は極めて困難と判断し、再生手続きの廃止を求める上申書を提出した。牧場側も了承しているという。
資金繰りを圧迫している最大のネックは、約13万頭の牛にかかる月約20億円のエサ代。牧場側は牛の売却を進めて現金収入を確保するとともにエサ代を削減していく意向だが、7万人を超える和牛オーナーの同意を一つ一つ得るのは非常に難しい。渡辺弁護士は「債権者の同意が逐一求められる民事再生手続きでは手間とコストがかかり過ぎ、迅速な破産手続きが妥当と判断した」と述べた。
オーナー側の被害対策弁護団の調査によると、オーナーへの配当に充てる引当預金は約20億円にとどまっており、配当率は被害額の1%未満になる見通しという。【和田武士】
◇道内6万5400頭飼育
■預託農家
安愚楽牧場は今年8月の民事再生申請時点で、北海道や栃木、宮崎県などに計40カ所の直営牧場を持つほか、全国346戸の預託農家があり、計約14万5100頭を飼育。このうち道内の直営牧場8カ所、預託農家136戸に約6万5400頭が飼育されている。
安愚楽牧場の破綻処理に伴い、農家への未払い預託料などは保全財産次第で弁済が一部カットされる可能性が高い。また仮に牛を買い取って事業を続ける場合でも多額の資金が必要になるとみられる。道農政課は「各地の振興局で農家からの相談を受け付けているが、まずは安愚楽牧場や市町村などから情報を収集し、道内への影響を把握したい」としている。
また、9月に十勝地方などの預託農家約50戸が集まり、結成した「全道安愚楽対策預託者協議会」は、新たな飼育の受け皿とする肉牛飼育法人の設立を検討中。横山和夫事務局長は「今後の事業見通しが見えない中で、既に破産に備え、準備してきた。預託農家が団結し、今後も飼育を続けられるよう、今月中旬から各地で説明会を開いていきたい」と話している。【田中裕之、三沢邦彦】
■オーナー
老後や家族のために、と安愚楽牧場に多額の資金を預けていた全国の「オーナー」たちは先行きへの不安を語った。
栃木県内の40代のオーナー夫妻は20年ほど前、生まれたばかりの長女の養育費にしようと「預金感覚」で契約した。やがて「老後の蓄えになるから」と考え、約9000万円をつぎ込んだ。破綻直前、牧場側から「特別なオーナー様だけに」と銘打って、出資を促す案内も届いたという。夫婦は「少しでも多くお金を戻してほしい」と話した。【柴田光二、泉谷由梨子】
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