2011/12/09

この冬、お肉が安い3つの理由 前年比2割安も

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この冬、お肉が安い3つの理由 前年比2割安も
2011/12/8 7:03 日本経済新聞 電子版

国産の牛肉、豚肉、鶏肉の卸価格が安い。11月の肉類の月間平均価格は1年前を4~20%下回る。東日本大震災による消費減退ムードは徐々に解消しつつあるが、食肉の需要回復には結び付いていない。背景には3つの要因がありそうだ。

■牛肉は6カ月連続前年割れ、鶏肉も下落に
東京市場では高級な和牛枝肉A4等級(生体去勢)の11月の月間平均価格は1キロ1511円。1年前に比べ1割強安い。スーパーなど量販店で売られるA3等級(同)は2割安の1246円だ。それぞれ6カ月連続で前年価格を下回った。
豚肉や鶏肉はどうだろうか。国産豚肉(生体上)は1割安の1キロ395円と3カ月連続で1年前より安い。10月の平均価格は8年ぶりの安値だった。食肉のなかで唯一、前年よりも高値が続いていた国産鶏もも肉(加重平均)も11月には1年ぶりに下落。前年同月比4%安い1キロ594円となった。

■輸入増と国内出荷増で供給過剰に
安値の理由はまず、輸入肉と国内出荷頭数の増加による供給増だ。農畜産業振興機構(東京・港)によると今年4~9月までの鶏肉輸入量は前年同期比14%増の25万トンと大幅に増えた。商社各社は震災で東北の鶏肉生産地が打撃を受けたことによる供給減を懸念して、ブラジル産鶏肉を中心に大量の輸入契約を結んだ。だが、想定以上に早く生産体制が回復したため国内在庫がだぶつき始めた。
また牛肉輸入量も2003年度以来の高水準だった昨年度並みの26万4000トン。円高を背景に小売各社が輸入牛肉の品ぞろえを強化したことも一因だ。
牛肉では国内の出荷頭数も例年以上に多い。なかでも肥育頭数が日本で最大級だった安愚楽牧場(栃木県那須塩原市)の経営破綻の影響が大きいという。市場関係者によると今年1月以降、安愚楽牧場からの出荷頭数が増えていたようだ。資金繰り悪化による換金売りなどにより、平年よりも1~2割多い1日5000~6000頭を出荷。「市場で吸収しきれないほど」(食肉卸)の状況という。

■冬到来の遅れや放射性物質への不安心理も
2つ目は天候要因だ。例年は11月を過ぎると鍋物需要に盛り上がる時期だが、気温低下の遅れから売れ行きが鈍い。「1年前に比べても1割以上も売り上げが少ない。牛肉や豚肉など食肉は鍋の必須アイテム。寒くなるのを祈るしかない」(都内のスーパー)と諦めの声も聞こえる。
3つ目は放射性物質に対する消費者の不安心理だ。7月に放射性物質セシウムで汚染された稲わらを食べた牛肉の流通問題が発生。焼き肉チェーン店の食中毒事件による需要低迷も加わった。食肉卸のミートコンパニオン(東京都立川市)の植村光一郎常務執行役員は「十分な検査と迅速な対応が遅れたため消費者からの不信を招いた」と言い切る。
また、豚肉価格の下落も放射性物質問題による風評被害の影響が大きい。「豚は稲わらを食べないにもかかわらず、原発の被災地に近いというイメージだけで敬遠された」(中堅スーパー)という。

■平年並みに戻るには時間
足元は放射性物質問題への懸念が緩和し、出荷頭数も減り始めたことで、食肉価格はわずかに上昇に転じ始めた。12月に入り寒さが本格化し始め、鍋物需要も動き始めた。とはいえ、例年に比べれば価格を押し上げる要因は乏しい。平年並みの価格帯にまで戻るには時間がかかりそうだ。

(商品部 五十嵐孝)

「価格は語る」は原則毎週木曜日に掲載します。

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