2013/01/23

漫画『クロサギ』作者・夏原武が警告! 今年は“薄利多売詐欺”に気をつけろ


http://wpb.shueisha.co.jp/2013/01/18/16636/
漫画『クロサギ』作者・夏原武が警告! 今年は“薄利多売詐欺”に気をつけろ
[2013年01月18日]

雑誌編集者を経てノンフィクションライター、マンガ原作者として活躍中の夏原武氏が今年の詐欺のトレンドを予想する!

芸能人のブログ掲載で話題になったペニーオークションサイトの手数料詐欺など、あの手この手を使い進化する詐欺の手口。詐欺をテーマとした大人気コミック『クロサギ』の原作者である夏原武氏に、今年増えると予測される手口を聞いた。

最近は将来への不安と長引く低金利時代にのっかり、投資系詐欺の手口に変化が現れている。以前は大口の儲け話をエサに被害者から短期間に財物を吸い取る“ヒットアンドアウェー方式”が主流だったが、最近はそんなおいしい話にだまされる人も少ない。

逆に近年は、数%の配当金を実際に払うなどしばらく「泳がせ」つつ、出資者を増やして長く大きく稼ぐ“薄利多売方式”が目立つようになっているという。

たとえば、2011年に破綻し目下、係争中の安愚楽牧場。被害者数は7万4000人、被害総額4208億円に上る。「オーナー」に繁殖牛を購入させ、購入価格の3%から8%以上を毎年還元するという投資スキームだが、実態は完全に自転車操業だった。

事件化する前から多くの識者により問題を指摘されていたが、民主党の海江田万里・新代表が、かつて「リスクはゼロ」(『女性セブン』1992年7月2日号)と語るなど、同社の広告塔として活躍していたことは忘れるわけにいかない。

この安愚楽牧場のようなパターンが、かたちを変えて増えてくると夏原氏は警告する。

「今年、発生するのではと思っているのは『マグロ養殖詐欺』。今年4月には近畿大学の養殖マグロを使った専門料理店が大阪にオープンしますし、養殖マグロビジネスはこれから大きくなる分野。詐欺師は絶対に新たな動きを見逃さない」

さらに、市場状況も養殖マグロへの投資に説得力を与えているという。

「昨今は、中国市場にマグロを奪われるなど安定供給が危ぶまれている状況。これも詐欺師にとっては追い風になる。『このマグロ危機を救うのは養殖だ。あなたの投資は日本の食卓を救う上、確実に儲かる』と言えば、ひっかかる人も多いはずです」

また、夏原氏はネットの普及に伴う情報の氾濫に苦言を呈する。

「暴力団の本格参入に加え、中国マフィアとの協力体制の構築、手口の複雑化など、詐欺の世界はだましのスキルがますます向上しています。その一方で、だまされる側はネットサービスに慣れることで『無料』であることへの警戒心があまりに薄くなり、SNSでは個人情報をダダ漏れさせ、さらに既存メディアは嫌うのにネットに書かれてある不確かな情報はうのみにする『自分を情報強者と思い込んでいる情弱』が増えている。これでは詐欺はなくなりません。僕は詐欺を減らしたいという思いもあって『クロサギ』の原作を書いているんですけども、ホント、なんだかむなしくなります」

今年は詐欺師の高笑いの聞こえない年になればいいのだが……。

(取材・文/コバタカヒト)

■週刊プレイボーイ3・4合併号「2012年の詐欺を振り返り、2013年の詐欺を展望する!!」より

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